熱にうなされたソロモン・グランディーが夢に見た数々の記憶の断片・

子供のときに、ジャングルジムが好きで、よく天辺に上って嬉しくなった、
少し大きくなってから同じジャングルジムに上った、昔より上るのは簡単・記憶より小さくなった 遊具、天辺で立ち上がって顔を上げてぐるっと見回して、あんまりつまらない景色に失望して、二 度とその公園には行かなかった。

小さな背丈では、階段を下りるのさえ一つの冒険・
短い足で、飛び降りるように一段一段制覇する、手すりに届かない小さな腕、あと三段というとこ ろで、目をつぶって、大きくジャンプ!

全て疑問だらけだった。
冷静な顔でいる大人は何でも知っているのだと思っていた・あれは何・これは・どうして・なんで ? 質問しても答えてくれない疑問は、大人が意地悪で教えてくれないんだと思っていた―――――飛 行機のうしろに、しろい線ができるのはなんで?―――――お母さんは、目を泳がせて、「そ ういうものなのよ」

年をとると、世界がたいそうつまらないものになった。
二十の誕生日に、大人が冷静なのは何も分からないからだと気付いて、ソロモン・グランディーは 失望した・世界は子供のものだった・大人は爪弾き者・何も分からなくなった………