風の強い日に、グランディーは窓の外を眺めていた。すると、気付けば横には一人の幼いレディーが居て 、リトル・ミス・マフェットと名乗った。グランディーはその小さな淑女に、
「見てください、外は酷い強風です。出れませんね」
マフェットお嬢さんはグランディーそっちのけでじっと窓の外を見つめている・落ち葉を巻き込むつ むじ風・街路樹が風に揺られる―――――見つめる瞳には小さな星が宿っている。グランディーは、 お嬢さんの瞳の星に、極彩色の世界を見た (この子供も、自分の世界を持っている)
The world blessed children ………
グランディーは尋ねた・
「何を見ているんですか」 What are you looking ?
リトル・ミス・マフェットは綺麗な瞳をくるりとグランディーに向けて。つたない言葉を紡ぎ出した 。
「わたしは、風を見ているんです。風を、でも、それは風と言う名前ではないです。風なんだけれど 、風ではありません。何ていったらいいか、風の中にある、大きな存在を、見ています。それはとて も偉大で、大きくて、はかりしれなくて、そうまるで神様みたいな………私は、風の中にいる、神様 を見ています」
グランディーは、リトル・ミス・マフェットの言葉を、まるで雷にでもうたれたように、聞いた。
(このお嬢さんは、グランディーには見えない世界を見ている!)

世界は少年少女のもの・けして大人のものではない。
少女は、世界を見つめている。極彩色の世界を・かつてグランディーがジャングルジムの天辺で宣言 したような世界を。その世界は、大人の目には、絶対に見えない。

グランディーは呟いた・
「リトル・ミス・マフェット、私はあなたが見てるような世界をもう一度見たい………あのわくわく するような感動を、もう一度味わいたい………どこにいってしまったんだろう、私の世界は」
Where is my world ? I wanna see again, but ………

世界は子供のためにある・その時世界を見失ってしまった大人は、どうしたらいい?