僕はいつも黄色い親友と遊びながら、彼にしてあげたいことや、彼を喜ばせてあげたいことが、沢山あった。余
りに沢山ありすぎてどれ一つ実行しないまま終わってしまった無数の計画を彼に話して聞かせると、彼はいつも
ありがとう、でも充分なんだ、と言った。今のままで、充分なんだ。
「君がとても蜂蜜が好きだから、君に沢山買ってあげられるように、僕は早く大人になるね。」
「君はとてもドジで、すぐに高いところから落ちて怪我をしてしまうから、ふってくる君の身体を受け止めてあ
げられるように、僕は早く大人になるね。」
「君は冬になるとベッドの中で丸くなって眠ってしまって、春になるまでずっと出てこないから、一度も空から
真白い雪がちらちら舞い落ちてくるのを見たことが無いだろう。とても綺麗な光景だから、君が冬中ずっと空を
眺めていられるような温かい部屋を作ってあげられるように、僕は早く大人になるね。」
「君に哀しいことやつらいことがおこらないように、全部全部楽しいことだけで埋め尽くしていられるように、
僕は早く大人になるね。」
してあげたいことは幾らでもあった。どれ程でも思いついた。二人で植えたグミの木はいつのまにか彼の背丈を
越していた。彼に語って聞かせる内容は日を増すごとに増えていった。いまだに一つも叶わない願い事は降り積
もり続けたけれども、彼の答えはいつの一つきりだった、ありがとう、でも充分だよ。
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