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 西に向かって這っていく、無数の人間がはいつくばって、山の端に沈んだ落日の残照で雲が仄暗い金色に輝いている。とても懐かしい色なので、懐郷の念にとらわれて西に這ってゆく。僅かな灯火、沈み行く光、今にも夜の桔梗色に飲み込まれてしまいそうな覚束ない灯りが恋しくてならない。もうすぐ夜に飲み込まれて自分の手の先まで分からなくなってしまう、今だって横を同じく西へ向かう人の顔さえ見えない。薄っすらと窺える目鼻立ち。交わそうとする言葉は夜に飲まれて通じない。孤独。郷愁。寂しさばかりが積もり積もってゆく。この西へと向かうパレードの名を、或いは葬列といい、或いは巡礼という。