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 右は明るく左は暗い。私は二股道の真ん中で戸惑いました。右手の酒瓶がちゃぷちゃぷ鳴って、左手の文鳥が美しい声でさえずりました。
「そうだ、右に行こうか。明るい方が良い。断然良い」
 私がそういうと妻は右の道を見つめながら、困ったような怒ったような不思議な顔をしていました。右が良いよ。私は重ねて言いました。右に行こう。