WORLD WAR Uが終了したとき問題となったのは、戦争犯罪人をいかにして裁くかと言う点だった。ドイツのニュルンベ ルクで、日本の東京で、世界中に山積みになっている犠牲の死体の落とし前をつけるべく、行われたのは軍事裁判だった。戦勝 国の人間を集めて、この悪夢の大戦争の主導者達の罪を裁こう。
極東国際軍事裁判の判事席には世界各国の人間がずらりと顔を並べた。アメリカ代表判事マイロン、ソ連代表判事ザリヤノフ、 オランダ代表判事レーリンク、イギリス代表判事パトリック………その時東京裁判判事席に名を連ねていた私は、パトリックだ った。
 私は全員の有罪を断言した。彼らは敗戦国の人間で私は戦勝国の人間だ。勝った人間は負けた人間に何をしても良い。法廷は 弱肉強食の規則に支配されている。勝敗が全てだった。バベルタワーの崩壊した日から、全ては勝ち負けで決まるのだ。私達は 戦わねばならない、そして勝たねばならない。勝ったら敗者を虐待せよ。負けたら次の勝負に勝て。
 真意の通じ合わない言葉では、敵を中傷する刃の代わりにしかならない。なので私はGUILTYの言葉で敵を攻撃する。現 在でも引き裂かれ続ける言語はその数六十億、かつてのように人と繋がる術など有りはしない世界で、私は戦った。負けた敵を 蹂躙すべく、言葉の刃を振りかざして。