「白日」


「太陽が眩しくて堪らない。」
「では眼を背ければ良い。目に映らなければ存在しないも同然。」
「目を背けても明るい。」
「では背を向ければ良い。」
「背を向けてもぬくい。」
「堪えられないのか其れ位。」
「堪え難い。ひどく乾いた気分になる。白日に晒せば其れ迄だ。太陽には情緒が無い。」
「太陽の非情が辛いのか。」
「太陽には仄かな柔らかみが無いのだ。」
「時には厳しい斜光も必要だ。優しみだけでは生きられまい。」
「必要と好意は別物だ。好意は太陽を厭う。」
「雲が出てきた。太陽が陰る。」
「曇り空の慈悲が嬉しい。」
「太陽が隠れてゆく。」
「此れで良い。明るみなど朧で良い。」
「もうじき冬が来る。冬の日は柔らかい。」
「冬が愛しい。じき風が変わる。季節が変わる。」