さかなのように暗闇のなかで過ごせればよかったのにね
ねむることもなくただ静かに目を瞑りながらエラから二酸化炭素をはきだすだけ
(嗚呼、それはなんてしあわせ)
(ざらざらざら)
(ウロコのねむる音がする)
海の底
真っ暗な海底
あんこうのライトで照らされて
きみの尾ひれが微かに見えたよ
明日にはもうすこし立派におよげたらいいね
海底の闇から太陽をながめるのではなくて太陽と一緒におよげたら
きっと僕らはそれだけでしあわせになれる
(冷たいみずのなかで生きていけるほどぼくらは強くないのにね)
またいつか新しいしあわせを探しに行こう
こんどは海の中ではなくて太陽を素手でつかみとれるところへ